熟年夫婦の在宅介護生活365日「胃ろう・気管切開・嚥下マヒ・糖尿病・認知症・」心臓は生体弁・人工血管・脾臓は摘出・それでも人生は一度限り・100才を目標に生きていきます。

日本百名山を完登したけれど・寝たきり要介護5の妻を介護しながら夫の寺ちゃんが描く、子供時代と青春時代、そして今。

57回目 湯気 立つ 白いご飯

僕が 子供のころの話

「揚げかす 夕ご飯」のこと

温かい ご飯に 揚げかすを どばっと 載せる

そのうえ から 醤油 を かける

おもむろに 茶碗を 持つ

くちに運ぶ

かきこむ 

咀嚼する

白いご飯粒に 揚げかすの味が 醤油と一緒に 滲み込む

ニンジンとかタマネギとか 魚の尾とか

きれはし が はいっている

「おかわり!!  次々と わんぱくな手が つきだされる

男の子 四人いて 食欲 旺盛なころ

お母さんは 子作り おっぱいやり は100点だった

いつも 笑っている ワハハ ワハハ と 大きいくち 声だった

料理は 無理 おかず 作りは不可能 食べるの得意

お父さんは 小柄で 何でも 得意 和風も洋風も中華も 得意

サンドイッチ なんぞ すごいぞ

近所の人が パンと材料 持ってくると

からしバターなるもの つくり 食パンを 薄く

 きれる包丁で 薄く パッパッと切り

サラダも つくり ハムも 一緒に パンにはさみこみ

耳を カットし 斜めに 切り

濡れ布巾で 整え 盛り付ける

耳と 残った材料 と パンは 貰う

それが また 僕たちの お腹に はいる

 

ある日の夕方

お父さんが 新聞紙に包んだもの 持って 帰ってきた

プーンと 油の匂いがした 天ぷらのいい香りだった

夕食は「揚げかす」ご飯

商店街のはずれの天ぷら屋で もらってきた 揚げかす

新鮮で サクサクしていて 美味しかった

今は スーパーで「あげ玉」が パック売り されている

揚げかす とは 似て非なり と言うべき ものである

今 いくら お金が あっても 地位も 名誉も 財産が

あっても 「心に 記憶された 湯気 揚げかすの味」

「あの時の一家だんらんの様子」は 手に はいらない

でも 「目を瞑り スイッチを いれると 魔法のように

思い出すことが できる」

貧乏だったけれど 幸せだった

着るものは もらいもの

兄弟の一番 上が まず 着る

しばらくして 二番目が

また しばらくしてから 僕が

そして おさがりは 四番目に いく

四番目は 僕の弟だ

弟が 着古した あとは ハサミで カットして

雑巾になり 無駄なく 使い 尽くされる。

 

花火師は 想像すると言う そして 絵を 描くと言う 凄いなと思う

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