熟年夫婦の在宅介護生活365日「胃ろう・気管切開・嚥下マヒ・糖尿病・認知症・」心臓は生体弁・人工血管・脾臓は摘出・それでも人生は一度限り・100才を目標に生きていきます。

日本百名山を完登したけれど・寝たきり要介護5の妻を介護しながら夫の寺ちゃんが描く、子供時代と青春時代、そして今。

2015-12-01から1ヶ月間の記事一覧

№23 12/30 白黒テレビと紅白と弟の話

昭和20年代後半 僕の家はトタン屋根 漬物石で押さえてある 家族6人が 貧乏生活をエンジョイしている お母さんは お父さんに惚れてしまい 親に言いつけて 「嫁」さんになった お母さんの実家は 大きい農家 使用人もいる お母さんは 末っ子 わがままで 育った …

№22   歌声喫茶

喫茶店なんだけれど みんなで 「山の娘~」とか 舞台の上のアコーディオン弾きに合わせて 肩を 揺らして 同じ 歌を 歌う 歌詞を印刷したの もらえる だから 歌える 川崎駅前にも あったし あっちこちに 一杯 あった ジャズ喫茶も 名前は違うけれど 僕たちは …

№21  SLの湯気と煙

「ボォーボォー 」 鹿嶋田の陸橋の下を 蒸気機関車が あっちから こっちから きて 向こうへいく 大きな 鹿嶋田操車場がある 一日中 絶え間なが無い 僕のトタン屋根のバラックの家から 歩いて1時間 かかる 友達と 5人で いく 橋の下を SLが通過する時 煙を吐…

作品№20  お風呂 もらいに行く

僕は 銭湯の他に 時々 お母さんに連れられて 歩いて30分のお母さんの実家に行く 「お風呂 もらいに行く」のだ お風呂のあとは ご飯 食べてくる じいじ ばあば が いる 20人くらい の人が きても 平気な 堀りこたつ風のテーブル ご飯もおかずも味噌汁も 一杯…

作品№19  猫の話

僕の家に 猫が 住みついた トタン屋根の バラック 隙間風が と言うより 外と同じ温度 それでも 猫が住み着いた 場所は 「物置」 物置といっても トタン板で囲った だけの場所 お母さんの実家から 貰ってきた りんごの箱 木の箱 勉強机だった 新しい みかんの…

作品№18 新聞配達少年

僕は 夕刊を配達する 新聞少年と 呼ばれていた 朝刊は 午前4時だ 兄は 朝刊 僕は 夕刊 夕焼けが 真っ赤に染まるころ あちこちから流れる 「エイヤー 僕の名前は 赤胴鈴之助だ~」 これ ききながら 走った 日が暮れるまでに 終わらないと 暗くなると 犬が 吠…

作品№17 川崎の花火大会

市制記念日には 花火大会がある 今でも ある 僕は お母さんに 手をひかれて 明るいうちに いく 多摩川の土手 越える 白いテントがならんでいる 市長さんも来る 僕たちは 市長さんと同じテント 〇〇家様 と書かれた 立札のところ ござ ではない 椅子だ お母さ…

作品№16  飛行機からのビラ

天気の良い日 空から キラキラ キラキラ お日様に 反射しながら ビラが 舞い降りてきた 手をかざして 見ると お尻から プッ とビラを 撒いている セスナ機が いた 「ぶぉ~ん 」爆音がした みんなで 歓声 あげて 拾いにいった 抱えきれないほど 拾った ほと…

作品№15 多摩川の土手 

僕の家から 歩いて30分のところに 多摩川があり 多摩川大橋も 架かっている 今も ある 僕たちは 土手の急斜面で 遊んだ 芝生みたいな草が 生い茂っていて 上から ソリで一気に 落下する感じ 下まで いったら 又 タッタッと駆け上る 一人乗り 二人乗り 角材を…

作品№14  鳩(ハト)

家はトタン屋根 石が 乗っている トタンが飛ばない為だ でも それを 乗せる人 落ちなかったね 台風の時 石が 僕の近くに 落下した ズシーンと言う 振動と音が まだ 聞こえる 僕には 兄が二人いる 長男 次男 僕 弟 お母さんは 偉いと思う 僕には 兄が二人 弟…

作品№13 入学

トタン屋根のバラックから お母さんに 連れられて 歩いた お母さんは 家が バラックなのに とっても 貧乏なのに お父さんは戦争のお陰で 仕事 無くなったのに 家には お金がないのに 着飾っていた どこかの 金持ちの奥様みたいだった 和服で 草履で 歩きにく…

作品№12 餅つき

お母さんの実家で 餅つき 庭は 広い 臼が 置いてある 杵も一緒 真ん中に 臨時のかまどが できていて 大きい 釜が 二つ 並んで お湯が 沸いていた 蒸篭(せいろ)に 洗った もち米が ザザーと まかれる 五段の蒸篭が 大釜に 乗せられる 隣の大釜のが 大人二人で…

作品№11 川崎大師の東映映画館

お母さんが 弟の善ちゃん おぶって 歩く おぶい紐の脇から 白い足が 揺れる 僕は お母さんの隣を歩く 時々 手を 繋いでくれる お母さんの顔は 真っ赤 汗が おでこ で 光っている 黙りこくって ひたすら 歩く 「東映に いくからな」 確かに そう 言った そう…

作品№10 サンマの煙

もうもうと サンマ焼く煙が 立ち昇る 七輪の炭が 赤く 吠える サンマの油が ジュジュと下に 落ちて 燃える あっちの家も サンマ みんな サンマの夕食 僕の家も サンマ お父さんが 買ってきた 6匹のサンマ トタン屋根の家の外で 焼いた サンマをくるんでいた…

作品№9  お姉さんと銭湯(12/11)

僕の家は トタン屋根の家 漬物石が 沢山 乗っかっている 壁は無い トタン板で囲ってある 家の中も 外も 温度は同じ 風も ヒューヒューと遊びに来る 無論 お風呂は無い よその家は プロパンガスのお風呂がある 薪で炊くお風呂の家もある 僕は 隣のお姉さんと…

作品№8 千人針と寅年と、お母さん。(12/10)

お母さんは甲寅(きのえのとら)年生まれ 猛虎 威勢の良い虎 勢いがあり 人気があり 体力もあり お父さんより 一回り 大きかった でも 気立ては 特に 子供には 優しかった 勿論 お父さんにも 同じ 戦争 親戚の男性が 海軍に 入隊して 千人針 作った とか 町内…

作品№7 五番目の女の子(12/9)

僕は 三男坊 家は 両親と兄弟4人の6人家族 トタン屋根の家 外と変わらない温度 風は 家の中でも 暴れている お母さんは寅年 の女 女の子は 生まれないと言う ある 冬の日 お母さんは 産気づいた 女の子が 生まれた でも 早産なのか 死んだ 僕の耳に 確かに …

作品№6 お父さんの得意技(12/8)

お父さんは 空襲で 家を 焼かれて 何もかも 失ったけれど 家族(お母さん 兄弟4人)を 守る為に 焼け跡に 燃え残りの柱 拾ってきたトタン 漬物石 で バラックと言う 家を 建てた 便所は 家の外 大きい瓶(かめ)の上に 板が 渡してある 落ちたら おしまい うんち…

作品№5 「蚊帳」(12/7)

蚊帳(かや)に はいる時 膝を ついて 両手で 蚊帳の裾を掴み 二~三回 パッパッと上下に 振る 素早く もぐりこむ でる時も 同じ やぶ蚊に 刺されると 赤く ふくれる トタン屋根の家は 外と同じ 僕は 三男坊だから 三番目だ お父さん お母さん 長男 次男 三男 …

作品№4 12/6(日曜日)Maikal Fujioの詩集「塩カラトンボ」

汗が 目にはいって 口に はいって しょっぱかった 僕は 竹さおを 両手で 握りしめ ゆっくり 円を 描いて いた さお の先には 白い木綿糸に くくりつけられた 「塩カラトンボ」が 強制的に 飛んでいた ああ 疲れた もう いいや と思った 家に 帰ろう 友達に …

作品№3 12/5(土曜日)Maikal Fujioの子供時代・「僕と善ちゃんのザリガニ捕り」

歩いて10分の小学校 給食 大好き 帰ってきて ザリガニ捕り 弟の善ちゃん 3つ下 カンカン照りの中 駆けだしたら お母さんが「ホラ !! 帽子!!」 子供用の麦わら帽子 強く 被せた 「痛いよ!! お母さん」 お母さんの奥歯の金がピカッと光って 笑った 近所の小川 …

作品№2 発表日・2015.12.4金曜日「カレーライス」Maikal Fujio

カレーライス 蝉が うるさかった 夕方 プ~ンとカレーの匂いがした トタン屋根の家 重石が 沢山 乗っていた 兄弟四人 ベーゴマしていた お母さんが「ご飯だよ~」と呼びに来た 外で 薪で でっかい 釜で炊く ご飯 米は お母さんの実家から 貰ってくる 歩いて …

作品№1 発表日・2015.12.3 「つらら」 原作者・Maikal Fujio

つらら 霜焼けの両手はがさがさ ひび割れ お湯を張った 錆びたブリキ製のバケツ そうと 先っぽから 漬ける 滲みる 痛い! 「お母さん 痛いよ! 滲みるよ」 僕は 鼻水すすりながら 喚いた 頭に げんこつが 飛んできた 「お母さん 痛いよ! 痛い」 四人兄弟の三番…