熟年夫婦の在宅介護生活365日「胃ろう・気管切開・嚥下マヒ・糖尿病・認知症・」心臓は生体弁・人工血管・脾臓は摘出・それでも人生は一度限り・100才を目標に生きていきます。

日本百名山を完登したけれど・寝たきり要介護5の妻を介護しながら夫の寺ちゃんが描く、子供時代と青春時代、そして今。

作品№8 千人針と寅年と、お母さん。(12/10)

お母さんは甲寅(きのえのとら)年生まれ

猛虎 威勢の良い虎

勢いがあり 人気があり

体力もあり お父さんより 一回り 大きかった

でも 気立ては 特に 子供には 優しかった

勿論 お父さんにも 同じ

 

戦争 

親戚の男性が 海軍に 入隊して

千人針 作った とか

町内会の人が 兵隊さんに とかの時

千人針 してあげたとか

お母さんは 千人の女の人が 縫う腹巻を

一人で 縫っても 良いと言う 女だった

 

それが 自慢だった

喧嘩も 強かった 自慢だった

男でも 女でも 気にいらないこと されると

「なにお」「なに」

胸倉 ひっつかんで 押し倒す 殴る

相手は 逃げるしかない

 

ほこりが 目にはいる ゴロゴロする

僕は 「お母さん 目に ゴミがはいったよ 痛いよ」

お母さんは 僕を 抱き寄せ 

オッパイ を ピュッ ピュッと

目を 開き 正確に 射出した

終わると 治っていた

 

お母さんの笑顔が 好きだった

家族には 優しく

敵には 立ち向かった

僕は 特に 愛されていたような気がする