作品№4 12/6(日曜日)Maikal Fujioの詩集「塩カラトンボ」
汗が 目にはいって 口に はいって
しょっぱかった
僕は 竹さおを 両手で 握りしめ
ゆっくり 円を 描いて いた
さお の先には 白い木綿糸に くくりつけられた
「塩カラトンボ」が 強制的に 飛んでいた
ああ 疲れた もう いいや と思った
家に 帰ろう
友達に 「帰るよ~」って 言った
僕は そのまま 竹さお を 立てて
塩カラトンボを 泳がせて 池からの
小道を 小走りに 家に 向かった
家に 着いた
トタン屋根に 石が 乗せてある
まわりも トタン さわると 熱かった
竹さお を 立てて 家の中に はいり
「お母さん 帰ったよ~」
誰も いなかった
土間に 置いてある 大きいやかんを
持ち上げると 重かった
麦茶だ
そばのコップに ドクドク注いで
両手で 持って 口に 運んで ゴクン ゴクン と飲み干した
腹に 染み渡った
外に でて 竹さお の塩カラトンボ を ほどいて
逃がして あげた
近くに 同じような 塩カラトンボが 一匹 飛んでいた
一緒に 池のほうに 飛んでいった。