作品№18 新聞配達少年
僕は 夕刊を配達する
新聞少年と 呼ばれていた
朝刊は 午前4時だ
兄は 朝刊
僕は 夕刊
夕焼けが 真っ赤に染まるころ
あちこちから流れる
「エイヤー 僕の名前は 赤胴鈴之助だ~」
これ ききながら 走った
日が暮れるまでに 終わらないと
暗くなると 犬が 吠えて 怖かった
「はあい ゆうかんで~す」
小学生の僕 は 肩に食い込む
新聞の束が 軽く なっていくのを
感じながら 玄関から 投げる
「ゆうかんで~す」
全部 終わると 新聞帯を
クルクル まるめて
回しながら お店に 帰った
お店の奥さんが 白い割烹着で
僕の頭を 撫でながら
でっかい 焼き芋 熱いのを
「アツアツ」 って 半分 くれた
フーフー 喰いながら 住宅地を
小走りに 駆け帰った
「お母さん 帰ったよ」
くちのまわりに 残った 焼き芋のカスを 舐めた。