52回目・初恋と湘南海岸と砂浜と波と潮の香り
詩・打ち寄せる波の音に 潮の匂いを感じた
僕が 差し出した手
千枝子が しがみ付いてきた
引き寄せながら 軽く 頬に チュッ した
手 握ったまま 大磯ロングビーチの前の砂浜
キャッキャッ いいながら 駆けだした
朝の太陽が 水平線の上の上のほうから
僕たちを 強い 陽ざしで 刺している
「ヤッホー~ ヤッホー~」打ち寄せる波に 叫んだ
そして 顔 見合わせ 笑い転げた
横浜の実家から サバンナRX7ロータリーエンジンで30分
僕と千枝子は 結婚式を 控えて 人生の最高の喜びの時間を 味わう
新聞社で 働いていて知り合った 目と目があった瞬間 恋におちた
その為に この世に 二人とも 生れてきたと思った
それほど 神秘的で 強烈な魂のぶつかり合い 引き合い だった
千枝子は スポーツ万能のおてんば娘 僕は車とバイク好きの少年
趣味が違う 友達も違う 生れた 育った 環境も違う お金持ちの家のお嬢さん と 子沢山の貧乏家庭の三男坊の僕 この星で 地球で 日本で 砂浜に 落とした 1カラットのダイヤモンドを さがす よりも
困難な 出会い あり得なかった
今
千枝子は 静かに 介護ベッドで 寝ている
要介護5 身体障害者一級
このまま 死ぬのだろうか
あの日の千枝子は どこに いったのだろうか
悪夢は 突然 やってきた
一日 10回のおむつ交換
本人は 何 考えているのだろうか
明日 あるとしたら
千枝子の笑顔が 見たいと思った
そして 生まれ変わって 再び 千枝子と愛しあいたいと思った
2016.6.17 作者「チエコの夫」
平和とは この写真の猫さんのこと これ見て ほっとする自分は幸せ