熟年夫婦の在宅介護生活365日「胃ろう・気管切開・嚥下マヒ・糖尿病・認知症・」心臓は生体弁・人工血管・脾臓は摘出・それでも人生は一度限り・100才を目標に生きていきます。

日本百名山を完登したけれど・寝たきり要介護5の妻を介護しながら夫の寺ちゃんが描く、子供時代と青春時代、そして今。

№32 富士登山

 結婚してから 何年かしてから 「富士山に登ろう」って 車で いった

午後9時に でて 中央高速で 午前1時に五合目の駐車場に 着いた 

満車だった けれど トイレの近くに 一台分の空きが あった

運が 良かったなと思った すぐに リュック担いで 歩き出した

 人 人 人 人 食堂は一杯 前も人 うしろも人 とにかく出発した

おにぎりは 食べながら お茶は 歩きながら 砂道が 続く

自然と 人の列の中にいた 前にも後ろにも人 遭難することは無い

星空の下 歩いた 下界は 遥か彼方 粒の町の明かりが 見えた

 永遠に 続くのか 登り坂は きつかった 折り返して 又 登る

妻は もう 吹っ飛んでいった 駆け足 前の人たちを 掻きわけていた

「先に いってるよ~ 頂上の食堂で 会おうね」 もう いなかった

僕は ハアハア ゼイゼイ よれよれだった 途中 酸素を買った 

吸っても たいして かわらなかった  途中の小屋で また 買った

 やがて 頂上に 着いた 食堂で 妻とラーメン 食べた 

「ご来光 見に いこう」と ラーメン 食べ終わってから いった

食堂から 少し 歩くと 人が 一杯いた そこで 待つと 明るくなって

きた 拍手が あちこちから 湧き上がってきた 僕も 拍手した

みんなと一体になった 幸せな気分になれた 両手を ご来光に 向かって

あわせて お祈りをした

 帰りは 楽だと思った 下り坂だから でも 膝が がくがくした

車に 戻り 「さあ 帰るぞ~」と叫んだ

妻は「初めてにしては 頑張ったね お疲れさんでした」と ほっぺにチュッとキスしてくれた

妻は 登山家なので 何回も 登っている 僕は 初めてだった

趣味が 好きなことが 違う

妻は 登山とか 旅行とか 海外もいく 自然が好き スキーも うまいし

友達も 登山仲間とか 旅行仲間とか スキー仲間とか 100人くらいいる

良く 働くし 活発な人 という印象を 人に与える 今は 病床にあり要介護5で障害一級で 寝たきりだ 夢も希望も無い 僕は 若い時から 車が好きで オートバイが好きで 海が好きで あちこち仲間といくのが好きで無線家の免許もあって世界中と交信もする だから 妻と一緒に 同じ趣味で何か することは無い 

 家庭は家庭 家族は家族 ちゃんと守っていく 誰にも負けない それが夫婦が うまく いくことに つながると思う

同じ趣味で 何するにも どこ いくにも 一緒だと 夫婦というより 友達関係になってしまい 家庭を 家族を まもる には 適さない

 いずれにしても 出会いから 今日まで 二人は 何か に 護られて いたことは 確かだ 天寿を全うするまで それは 続くこと 願う。

最近 野ら猫に出会う 不思議だ 僕には 何か 憑いているのだろうか 20年 飼っていた 愛猫が 虹の橋 へ 旅立ってから 鎌倉のお寺に 葬ってから 逢いにも いってきた 僕が 何とか 妻の介護 できるのも 見えない力のお陰かも知れない 

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この写真と 作文とは 関係無いです 作文は作文として 写真は写真として お楽しみ 下さい 2016・1・30 Maikal.Fujio