№34 映画 見に いかない
「ね 今度の休み 映画 見に いかない」僕は 彼女に 言った
「なんの 映画」彼女は 言った 僕は「とらさんの」って言った
「いいわよ おごってくれんの」 ぼくは「うん」と頷いた
映画の中で とらさんが 三人の女子に 写真 とるところ チーズって言うところを 「バター」って言う それが 面白かった 隣の彼女は 笑い転げて 涙 こぼした 僕は 誘って 良かったと思った
後日 「映画のお礼に ご飯 おごってあげる」って彼女に 言われた 会社の食堂で ランチ 終わって コーヒー飲んでいたら いたずらぽく 僕の手 握って 「わかったの」って 念 押された 「うん わかった」と返した
横浜の 勝烈庵と言う ところで 揚げたての豚カツ定食 食べた キャベツは お代わり できたし ご飯も お代わり できたし 赤だし味噌汁も お代わり できた 二階の座敷で 向かい合って 食べた 僕は カツを 頬張りながら 熱いものが こみあげてきた
帰り 車で 彼女の家まで 送り届けた 夜 10時前 門限に 滑り込みセーフだった お母さんが 門扉 開けて くれた 彼女は 背中で 手 振って 「おやすみ~」と言った お母さんが すみませんね と微笑った
失礼します と 丁寧に 頭をさげた
恋って こういうものなんだろうなと思った 車のハンドルが とても 軽く感じた いつか 結ばれる予感もした 良い人とめぐり会った 誰に感謝したらいいのか とりあえず ご先祖様に ありがとうございますと言った
近所で見た 猫 目と目が合うって ナンダ 生きろ よ な~