熟年夫婦の在宅介護生活365日「胃ろう・気管切開・嚥下マヒ・糖尿病・認知症・」心臓は生体弁・人工血管・脾臓は摘出・それでも人生は一度限り・100才を目標に生きていきます。

日本百名山を完登したけれど・寝たきり要介護5の妻を介護しながら夫の寺ちゃんが描く、子供時代と青春時代、そして今。

№35 四畳半 一間のアパートで

「今度の日曜日に アパートにいくね」と彼女が 言った 「うん いいよ」と僕は言った。  車は いいのに 乗っているけれど 住まいは 古い 木造のアパート 二階の角部屋の四畳半 一間のところ 寝るだけ ふとん しかない 実家から 自立して 間もないころだった。  別に いいとこ 見せるとか そんなの 無かった 彼女は 親と住んでいて 自分の部屋がある 母親が 世話焼いてくれるので 本人は 花嫁修業と遊びと仕事とに 精をだす 日曜日 蒲田駅で 待ち合わせした 改札口で 白いワンピース姿の余所行きの彼女を 見つけた 真珠なのか まぶゆい ネックレスしていた。  高そうなハンドバックとか イヤリングもしていた。 「今日は おめかしして きれい」と 僕は 褒めた。 

 アパートに到着した 「ここだよ」 古い看板で 富士見荘 と掲げられていた 玄関は一つで 二階には 階段でいく スリッパをだした 汚いけれど 仕方ない 彼女は 珍しそうに「アパートって こうなってんだ」と言った きしむ 木の階段を 登り 二階の角部屋の僕の部屋に 着いた。 木製の古いドアを開けると そこが 四畳半の僕の部屋だった ふとんは 隅に 畳んでおいた 掃除もしておいた 僕は ガラス戸を ガラガラ 開けた 角部屋なので 二か所の 開けた。

 大家の おばさんが その音 聞きつけ 階下から 顔 のぞかせ 「彼女 きたの」って 大声で 挨拶がわりに 怒鳴った 「はい 今 一緒にいます」と 言った 大家のおばさんが 巨体をふるわせ 座布団二枚 お湯のポット お茶葉 急須 湯呑 菓子 を 運んできた 「すみません」と 彼女は 受けとり すぐに お茶の仕度をしてくれた 大家のおばさんは 「ゆっくり していってね」と 背を向けた。 しばらく とりとめのない話をしたり 窓辺に 座り 下町のゴチャゴチャしたの見たり 彼女が お母さんから 持っていって 遊ぶのよって お手玉で 遊んだ そのあと あやとり もした 小指と小指を絡ませ 歌を ハミングしたりもした 昼になって おなかが空いた 

 近所のラーメン屋にいって ラーメンとギョウザのセット 二人分 注文した 僕は「すみません ライス 大盛り追加 お願いします」と叫んだ 彼女が笑った。

歩いて すぐの駐車場の 僕の車のところに いき ドア 開けて 「どうぞ」と言った 彼女は 助手席に 滑り込んだ 帰りは駅ではなく まだ 陽が高いので 鎌倉へのドライブにした  肩の凝らない  お喋りしながら 鶴岡八幡宮から大仏から 海のほうにも 車を 飛ばして 窓 開けて 湘南の風 一杯に 受けて 江の島で 下りて 砂浜を 裸足で 駆けた 二人とも まさに 青春 真っただ中だった 恋が芽生えたのが わかった そして 夕方 彼女の家まで 送り届けた 。

 

揺れる想い 体じゅう感じて~♪

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